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不動産売却を考える相続のポイントは?登記や税制の流れも解説

不動産ノウハウ

末廣 美琴

筆者 末廣 美琴

不動産キャリア6年

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相続によって不動産を取得したものの、「どう進めればよいのだろう」と悩まれていませんか。不動産の売却は手続きや税金など、普段なじみのない専門的な要素も多く、戸惑う方が多い分野です。本記事では、相続した不動産を売却する際に知っておきたい基本の流れや税制の特例、また物件の特徴から売却のポイントまで分かりやすく解説します。これから売却を検討する方が安心して一歩を踏み出せる内容をお届けします。

相続した不動産を売却する前に知っておきたい基本のステップ

相続した不動産を売却する際は、まず「相続登記」を適切に行うことが重要です。2024年(令和6年)4月1日から、相続によって不動産の所有権を取得したことを知ってから3年以内に相続登記の申請をすることが法的に義務化されました。正当な理由なく期限を過ぎると、法務局からの催告後に10万円以下の過料が科される可能性があります。義務化以前の相続も対象となり、2027年(令和9年)3月31日までに対応が必要です。

次に、登記に必要な書類と手続きの概要をご紹介します。代表的な書類としては、被相続人の死亡を証明する死亡届や戸籍謄本、相続人の関係を証明する戸籍や遺産分割協議書などが必要です。登記申請は、これらの書類とともに法務局へ提出します。制度の簡素化として「相続人申告登記」も新設され、書類や押印なしでオンライン申請が可能となっています。ただし、これは義務を履行するためのものであり、不動産売却に必要な所有権移転登記とは異なる点にご注意ください。

相続登記を放置すると、複数の相続を経て相続人が膨大になり、権利関係が非常に複雑化してしまいます。さらに、登記簿上の名義が被相続人のまま放置されることで、所有者不明土地の問題が深刻化し、公共事業や利活用が阻害されるおそれもあります。早期に相続登記を行うことは、ご自身の権利を守り、将来的なリスク回避にもつながります。

以下に、基本のステップを表にまとめました。

ステップ内容注意点
1.相続登記の確認 相続によって不動産を取得した事実と、相続登記がされているかを確認 義務化以前の相続も対象。期限までに手続きを
2.必要書類の準備 死亡届、戸籍謄本、遺産分割協議書などを揃えて法務局へ提出 書類漏れや不備がないように慎重に準備
3.登記申請の実施 通常の相続登記または簡素な相続人申告登記を利用 登記完了前に売却手続きは進めないでください


相続不動産に関する税制上の特典と注意点

相続で取得した不動産の売却時には、譲渡所得から一定額を差し引ける「特別控除」や、そのほか税制上の軽減措置が受けられることがあります。ただし、適用には要件や期限があるため、注意が必要です。

まず代表的なものに、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」、通称「空き家特例」があります。この制度では、相続で取得した家屋及びその敷地を売却する際、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大三千万円を控除できます。

適用の主な要件としては、

要件内容
建築時期昭和五十六年五月三十一日以前
相続開始からの売却期限三年以内の年末(相続開始のあった年の翌年末から三年目の十二月三十一日)まで
耐震基準・用途耐震基準を満たし、事業や賃貸など他の用途に供されていない

また、令和六年一月一日以後に相続人が三人以上の場合、この控除額は一人あたり二千万円に引き下げられています。

もう一つの税制上の軽減措置として「相続税の取得費加算の特例」があります。相続税の申告期限(相続開始から十ヶ月以内)後、三年以内に売却する場合に、取得費に相続税相当額を加算でき、譲渡所得税を軽減できます。ただし、この制度と「空き家特例」とは重複適用ができず、どちらかを選ぶ必要があります。

なお、相続税の申告期限は相続開始から十ヶ月以内、譲渡所得税の確定申告期限は売却した翌年の三月十五日です。この間に申告が間に合わない場合には、更正の請求により還付を求める手続きも可能です。

まとめますと、相続した不動産を売却する際には、まず「空き家特例」や「取得費加算の特例」の適用可否を検討し、それぞれの適用要件や期限を押さえておくことが重要です。適切に対応すれば、税負担を大きく軽減できる可能性があります。


相続した不動産の特徴と売却時に考慮すべきポイント

相続によって取得した不動産には、築年数が古い・敷地が広すぎる・立地が限られるといった特徴が見られることがあります。たとえば築30年以上の住宅や、農村部にある広い土地などが典型例です。こうした条件は、売却価格や期間に次のような影響を及ぼす可能性があります。

特徴売却価格への影響売却期間への影響
築年数が古い価格が下がる傾向にある買手が慎重になるため長期化する場合あり
敷地が広い or 狭い活用のしやすさ次第で評価が変動需要が少なければ時間がかかる
立地が郊外・不便地価が低くなることが多い希望価格で売るには時間が必要

実際には、築年数が経過した物件でも、適切な活用方法やリフォーム履歴が評価され高く売れる場合や、駅近物件であれば広さや築年のハンデを補えることもあります。

また、相続不動産の売却を検討するうえで重要なのが査定です。査定により市場での適正な価値を把握することが、売却判断の基盤となります。査定を通じて「今売るべきか」「いつが適期か」「どのような価格帯が目安か」を具体的に知ることができます。

さらに、相続した物件は放置すると劣化や固定資産税の負担が続くうえ、売却機会を逃すリスクがあります。早めに査定し価値を把握しておくことが、結果的に売却を有利に進める第一歩となります。

このように「築年数・広さ・立地」といった特徴が売却価格や期間に与える影響を理解し、早期の査定で価値を把握することが、相続不動産の売却を成功させるための大切なポイントです。

売却までの流れと注意すべきポイント

相続で取得した不動産を売却するには、明確な段階を踏んで進めることが重要です。以下に代表的な流れをまとめました。

ステップ内容注意点
①相続人・分割方法の確定遺言書の有無を確認し、ない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。協議が整わないと売却手続きに進めず、時間がかかります。
②相続登記(名義変更)被相続人名義の不動産を相続人名義へ変更します。2024年4月から義務化され、3年以内の申請が必要です。期限を過ぎると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
③売却の流れ(査定・契約・引き渡し)名義変更後、不動産の査定を行い、媒介契約を締結して売却活動を進めます。買主との交渉、売買契約、引き渡しまでを経て完了します。査定額は必ずしも売却額と一致せず、媒介契約の選択によっては進行に偏りが生じることもあります。
④税務手続き相続税(期限:相続開始から10か月以内)の申告・納税、売却後の譲渡所得の確定申告(翌年2月16日~3月15日)を行います。相続税の取得費加算や3,000万円特別控除などを適用できます。特例の適用には期限や要件があるため、忘れずに申告することが重要です。

各ステップでは、特に以下のポイントに注意してください:

  • 遺産分割協議が整わないと、相続登記や売却手続きに進めないことがあります。
  • 相続登記を怠ると罰金・過料のリスクがあるため、早めの手続きが安心です。
  • 査定だけで安心せず、売却条件や流れをきちんと確認しましょう。
  • 税務申告には期限があり、特例の適用期限を逃すと節税機会を失う可能性があります。

これらを早めに進めることで、相続不動産をスムーズに売却でき、手続きの迷いやリスクも減らせます。

まとめ

相続によって取得した不動産の売却には、登記の手続きや税制上の特典など、事前に知っておくべき大切なポイントが多くあります。登記を放置するとペナルティの対象となることがあり、また、税制優遇の適用には適切な期限や手続きを守る必要があります。相続物件の築年数や立地など、その特徴を正しく把握し、早めに価値を確認することで、売却の計画を立てやすくなります。売却までの流れを理解し、迷いや疑問は迅速に解消しながら進めることで、より安心して不動産の活用ができるようになります。

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