日本が抱える社会問題として、空家が増加中という問題があります。
空家率としては地域別で中国地方や四国などの西日本を中心に高く、地方中核
都市を抱える地域や大都市では低い傾向があります。
しかしながら、空家の実数は大都市圏が多く、なんと東京都だけで80.5万戸
にも上り、首都圏1都3県で全国の23.9%を占めます。
大阪府は空き家戸数が2番目に多く、既に人口が減ってきており、賃貸用を
中心にして空家率も全国平均を軽く上回っています。
現状のまま新築供給が推移するとすると、2040年には空家率が40%超となる
予測もあります。
しかし、住宅ストックが断然多く、新築供給が活発な大都市圏では、今後
高齢化に伴って放置された空家問題が深刻化することが考えられます。
この空家問題に法的根拠を裏付けとする指導を行えるようにしたのが、
「空家等特別対策措置法」です。
その中でも「特定空家等」に指定されると、行政は以下のような事が出来る
ようななりました。
〇立木伐採
〇住宅の除去
→上記等の助言・指導・勧告・命令
→上記等の強制執行
これによって、市町村(各自治体)が、空家の確認作業を行い、その結果、
「特定の状態が当てはまる空家(特定空家)」であると認定された時、
これまでその空家が建つ土地に支払っていた固定資産税が、なんと最大で
今までの6倍になる可能性が出てきたのです。
なぜ固定資産税が6倍になるのか?
どうしたら6倍にならないのか?
まず最初に、土地の固定資産税の出し方から説明します。
課税標準額 × 1.4% が計算式となります。
課税標準額とは、公示価格の約70%位だと考えて、
もし仮に課税標準額が4,000万円であれば、
4,000万円 × 1.4% = 56万円
評価額が4,000万円の土地の固定資産税は56万円という計算になります。
では、評価額4,000万円の土地のオーナーは、実際に56万円支払っているのか
と言うとそうではありません。
1戸につき200㎡以下の住居用地部分
小規模住宅用地 = 課税標準額 × 1/6 × 1.4%
1戸につき200㎡以上の住居用地部分
一般住宅用地 = 課税標準額 × 1/3 × 1.4%
課税標準額が4,000万円だが、200㎡以下の土地であれば、
4,000万円 × 1/6 × 1.4% = 約9.3万円
課税標準額が4,000万円だが、200㎡以上の土地であれば、
4,000万円 × 1/3 × 1.4% = 約18.6万円
56万円から考えると大きく下がりましたよね。
しかし、「特定空家」に指定されると、この優遇処置が適用されなくなって
しまいますので要注意!
最大6倍の税金負担となるわけです。
この計算で固定資産税が6倍になってしまうという事がお分かりなったかと
思います。
この優遇措置は、ちなみに土地の固定資産税に対してのみ適用されます。
建物の固定資産税に関しては、優遇措置はないので混同しないよう気を
付けて下さい。
特定空家に指定されて、税金を多く納めなくてはいけない状況を避けるため
にも、早め早めに売却するという選択肢を基本的に勧めします。
老朽化した空家を売却される時は、不動産仲介業者に依頼するのも良いです
が、瑕疵担保責任や手数料を売主様が負う心配のいらない買い取り業者への
売却も良い手だと思います。