新築住宅をローン借り入れで購入する場合、金利負担を軽くするための制度「住宅ローン減税」または「住宅ローン控除」を受けられることをご存じでしょうか。
しかし、2024年1月から一定の省エネ基準を満たさない新築住宅が住宅ローン減税の対象から外れることになり、何も考えずに購入すると減税が受けられない可能性も……住宅ローン控除を利用する予定の購入者は、注意が必要です。
住宅ローン減税とは
住宅ローン減税は住宅ローン控除のことで、正式名称は「住宅借入金等特別控除」と言います。住宅ローン減税とは、住宅を取得するか、中古住宅を増改築した場合に、最大13年間にわたり各年末の住宅ローン残高の0.7%を所得税などから差し引く仕組みのことです。
2022年の税改正により、住宅ローン減税は居住開始後の年末借入残高に対し0.7%分(減税率)が所得から控除されます。また、住宅ローン減税の適用を受けるには下記5つの適用条件があります。
【住宅ローン減税適用条件(対象)】
● 特別控除を受ける年の合計所得(全ての収入から所得控除を引いた額)が2,000万円以下
● 住宅ローン借入期間が10年以上
● 床面積が50㎡以上
● 住宅の引渡し又は工事完了日6か月以内に居住(減税を受ける人)
● 自ら居住する住宅
2022年の税改正で環境に配慮した新築住宅の借入限度額や最大控除額が優遇されるようになりました。
従来は省エネ基準を満たさなくても3,000万円を限度に控除対象になっていました。しかし、2024年1月以降に入居する新築住宅は断熱性能などの省エネ基準に適合しないと、住宅ローン減税の適用を受けられなくなります。ただし、すでに減税対象となっている住宅ローンには影響しません。
国土交通省の調査では20年度時点では新築住宅のうち約16%が省エネ基準を満たしていないことが明らかになりました。これは、マンションと戸建てで計8万戸ほどが該当することになります。規模別にみると、マンションなど大規模な住宅が27%、中規模で25%が基準に届いていません。
現在、注文住宅などの新築を計画中の場合、土地の選定から建物の設計、仕様打合せなど諸々、建築が具体化するまで半年から1、2年は必要になります。したがって、2023年度中に建築確認(住宅地管轄の市町村などに図面や書類を提出し建築の許可をもらうこと)を受けるか、2024年6月末までに竣工する住宅の場合は、基準に達していなくても減税対象となる特例を設けています。また、借入限度額は今より1,000万円減らし2,000万円、控除期間も10年に短縮しています。
2024年以降に建築確認を受ける新築住宅で住宅ローン減税を受けるには、条件に適合していることを示す証明書を提出する必要があります。したがって、これから家を建てるなら住宅ローン減税対象の「省エネ基準適合住宅」で計画していくことがマストになります。
実際に、比較的低い固定金利で35年以内の長期融資を受けられる、住宅ローン「フラット35」の新築住宅への融資については、2023年4月から省エネ基準を満たすことが条件となりました。さらに、省エネ性能の高い住宅に関しては、より金利を引き下げるなどの優遇措置を導入しています。また、一般の金融機関が手掛ける住宅ローンについても、2024年1月以降から基準に適合しないと減税を受けられないようになりました。
では、2025年以降、住宅ローン減税対象になる「省エネ基準適合住宅」とはどのような住宅なのでしょうか。
「省エネ基準適合住宅」とは現在の省エネ性能を満たす基準を有する住宅をいい、具体的には断熱性能等級4以上で、かつ空調や照明など一次エネルギー消費量等級4以上の住宅です。
【省エネ基準適合住宅】
● 断熱性能等級4以上(断熱に関する等級)
※建物外皮(外部)面積あたりの断熱や日射遮熱性の基準
開口部(窓)に複層ガラス(ペアガラス)以上を使用、隙間なく断熱材でくるむ
● 一次エネルギー消費量等級4以上(エネルギー消費量に関する等級)
※設備で消費するエネルギーの基準
省エネ性能の高い設備機器を使用する。高効率給湯器や太陽光発電の導入など
省エネ基準適合住宅は、高性能であることから建築費は従来よりも高くなる傾向がありますが、家全体の断熱性能が高いことから、光熱費が大きく削減でき、室内の温度差もないため快適な空間が生まれます。また、低断熱が原因で起こる結露が発生しにくいため家が長持ちするというメリットもあります。
購入後「知らなかった」と後悔してしまう前に、よりよい住宅購入の機会となるよう全面的にサポートします。
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