賃貸マンションの大家さんをはじめ、土地の所有者の人、不動産占有者の人、
不動産の管理をされている人に質問です。
もしも地震や台風で賃貸マンションを借りている人や、通行人にケガを負わ
せてしまった場合。
所有する土地にガラス片などや、そのまま放置している事でケガをする恐れが
あると知っていながらそのままにしていて誰かがケガをした場合。
もしそんな事態があなたが管理している物件で起こったら、大家さんはどこ
まで責任を負わないとダメなのでしょうか?
民法ではどの様に記載されているのか?
民法717条では
「土地の工作物の設置または保存に瑕疵がある事によって、他人に損害を
生じた時、その工作物の占有者は被害者に対してその責任を負う」と
あります。
瑕疵とは、造成不良や設備の故障などの何らかの欠陥を指します。
つまり、その物が通常であればもっている安全性を欠いた状態の事であり、
建物が通常もっている安全性を欠いている事も瑕疵に該当します。
阪神淡路大震災などの時の例で見ていくと、「建物に何らかの瑕疵があり、
それを放置したことによって発生した被害は大家が責任を負う」という判断が
裁判所により出ています。
●危険と知りながらも放置してきた天井が地震のせいで落下してしまい、
賃借人に後遺症ができた。
●高低差のある土地で遊んでいた子供が怪我をした。
●台風の時の強風で瓦が飛んでしまい、通行人に当たって怪我を負わせた。
●所有している土地に落ちてあったガラスの破片で子供が怪我をした。
上記のような出来事では、全て大家さんが管理者責任を負わなければならない
ケースです。
裁判所がこうした判断を下す根拠には、民法717条で決められた「土地の
工作物に瑕疵(欠陥)がある事によって生じた被害は、所有者が損害を賠償
しなければならない」(工作物責任)という条文があります。
法律は、建物の所有者に対して、
例え所有者の管理に故意や過失がなくとも責任を負うべし」という厳しい責任
(無過失責任)を課しています。
不幸中の幸いではないですが、軽いケガだけで済んだ場合はまだしも、重い
後遺障害になってしまった事で、何億円という損害賠償責任を負わなければ
いけないケースもあります。
ここで言う建物の瑕疵とは一体どういうものなのでしょうか?
この問題に関しては、事例が少ないため、専門家によっては意見が違うケース
があります。
建物が建築された時点での耐震基準をクリアしているのか、否かによる、と
されています。
建物の強度に関して言えば、年々基準が変更となっていますが、基本的には
建物が建築された時に定められていた耐震性をクリアさえしていれば、建物に
瑕疵はないといえるでしょう。
台風や地震、津波などで倒壊したとしても、責任を問われる事は難しい
でしょう。
そのためには、建物が建築された時にもらえる確認済証が大きな力を発揮
するでしょう。
しかし、なかには熊本地震のように震度7以上の地震が発生することが予見
出来ている以上は、新築当時の耐震基準ではなくて、熊本地震と同等の地震に
耐えられなければ瑕疵に当たるという意見もあります。
そのため、この基準をクリアするためには相当な費用をかけた耐震工事が必要
となってくるでしょう。
熊本地震では、旧耐震基準による建物702棟のうち、なんと225棟が倒壊して
しまいました。
新耐震基準のマンション1402棟のうち80棟が倒壊したというデータも出て
います。
管理者責任を負わないといけないケースは非常に判断が難しいです。
実際の所、新耐震の基準に合格しているものの、震度7以上の地震にも考慮
しておかなくてはならない。
なんてことになったら、一体何を基準にしたらよいのか分かりません・・。
これから収益物件の購入を検討されている方や、これから自分用の住まいを
探されている方は、新耐震と旧耐震は1981年6月に転換期とされています。
その為、1981年6月以降に建築確認済証が交付されている物件を探すと
比較的リスクは少なくなるでしょう。
多少値段が高くても、出来るだけ築浅物件で、木造よりも鉄筋コンクリート造
の物件を選ぶ方が、安全性は高くなります。
今後、購入を検討している物件が旧耐震なのか、新耐震なのかで、一歩進んだ
住宅ローン審査にもかかわってきますので、気を付けてみましょう。
自分自身の判断では不安という方は、専門家がいる不動産会社にご相談される
というのも手です。
弊社新築アパート施工例