事故物件とは、敷地内で過去に自殺があった物件、殺人事件に火災、不審死が
起きたなどなど心理的に住みたくないなと思うような物件の事を言います。
老衰での死亡や病死のケースでも心理的瑕疵物件と言えます。
ご自宅の売却金額は高額であり、縁起を担いで大安の日に契約日や引渡し日を
選ぶ人も多数おられます。
そのため一般的に事故物件は縁起が悪い!と嫌悪され、売れ行きは思わしく
ありません。
そうなると事故物件は売却までに時間が通常の物件よりも長くかかったり、
やっと売れた!となっても、金額が安くなってしまう傾向があります。
過去に起きた事項に関して買主は絶対に説明しなければならないのでしょうか?
高い金額で売却したいからと言って、買主に告知しないと、瑕疵担保責任を
負う可能性がありますので注意しましょう!!
具体的に何年前に起きた事故とまでは説明しなくてもよいですが、売主が
知りえる限りの事柄を買主に伝える義務があります。
これを売主の告知義務と言います。
売主は不動産の売却で瑕疵担保責任を負います。
瑕疵とは何かと言うと、雨漏りやシロアリ被害などで住宅が本来持っている
べき品質や性能を欠くことを指します。
先に述べた事故物件などの事故は、心理的瑕疵を呼ばれます。
一般的な瑕疵担保責任を売主が負う期間は3か月とする契約が多いですが、
瑕疵について売主が知っていたにも拘わらず、買主に告知しなかったものに
関しては、4か月目以降でも瑕疵担保責任を免れることは出来ません。
心理的瑕疵を隠すことによって、売主としては、逆に大きな損害が発生する
可能性があります。
心理的瑕疵があろうとも売却は可能ですが、どうしても金額は安く叩かれて
しまいます。
一般的に普通であれば売れるだろう金額の50%~80%辺りで落ち着く傾向が
あります。
タイミングと物件の場所によっては最悪半額まで価値が落ちてしまうと思って
頂ければ良いでしょう。
どれだけ下がるかは物件によって変わってきますが、需要の多いエリアで
あれば、下げ幅は小さくて済むかもしれません。
反対に不人気のエリアや地方であれば、この下げ幅が大きくなります。
事故物件は普通の方法で売っていたのでは一向に売却できないのはご理解
頂けたかと思います。
ではどうすれば売却出来るのか?
先に述べたように
①値引きして売却
これは事故物件では基本中の基本です。
この値引き、事故物件の売却の可能性を高める上で有効な方法です。
どのくらい値引きすればよいのか?売主として考える部分ですね。
一番安く不動産売買していると言えば、それは競売です。
競売には最低入札価格というものがあり、それを基準に入札を行うことで
最終的な価格が決まります。
この最低入札価格は、概ね市場価格の70%前後と言われています。
つまり30%の値引きですね。
任意売却が競売の次に安いと言われていますが、これは市場価格の80%位。
つまり20%の値引き。
では事故物件ではいくらの値引き?と考えると、事故の内容にもよるとは
思いますが、事故物件も競売も似たようなものだと考えるのならば、30%の
値引きでまずは十分かなと思います。
②更地にして売却
戸建住宅やアパートが事故物件の場合、全部取り壊してそれから売却すると
いうのも手です。
あまりにも忌まわしい記憶がある不動産であれば、丸ごと壊してしまえば、
買主の精神的な不安はかなり減少されます。
もともと更地もしくはマンションで起きた事故物件であれば、取り壊すという
ことが出来ませんので、戸建住宅やアパートが事故物件であれば、取り壊すと
いうことが出来るという面では有利です。
戸建住宅の裏の倉庫で事件があったならば、その倉庫だけでも取り壊して
しまう方が得です。
倉庫があるだけ、何も事件が起きなかった住宅の価値まで下がってしまう為、
部分的に取り壊せるものは取り壊すことをおすすめします。
築25年以上経っている戸建住宅であれば、価値はほぼ0です。
なので、築20年前後の建物であれば壊してしまった方が高く売却できます。
通常の物件であれば、価値が0で留まりますが、事故物件ならばマイナスに
影響していまいます。
築古の事故物件であれば壊して売却という選択肢も検討できます。
不人気エリアでは買い手がつかないケースもあります。
そういったケースでは建物を解体して倉庫や駐車場になることが多いです。
③事故後数年経過してからの売却
事件や事故というものは、時間とともに世の中から風化され、皆の記憶から
薄れてきます。
事件事故が起きた直後が最も価格が下がりますが、時間の経過ともに価格への
影響があまりしなくなってきます。
極端な例を言えば、戦国時代にここで誰かが戦死したとしていても、誰も
事故物件とは認識しませんよね。
事故は人々の記憶の中に残っているから事故なのです。
心理的瑕疵については、告知期間についても色々な判例が出ていますが、
その年数についてはバラバラです。
心理的瑕疵の告知義務は、裁判の判例ではなんと50年以上前の事故でも
説明責任を判決で認めたものもあります。
一般的に瑕疵の程度が重ければ告知期間も長く、瑕疵の程度が軽ければ
告知期間も短い傾向にあります。
多くの判例では、概ね10年程度は心理的瑕疵を説明しないと売却が取り
消されるという判例で落ち着いています。
そのため事故から大体10年前後は、人々の記憶の中に事故が残っており、
それによって価格も下がる可能性があります。
なんにせよ、心理的瑕疵は説明しなければいけませんが、それによる値引き
は、事故の悲惨さや事故からどれだけの年数が経過したかによるものと
判断されます。
焦ってすぐに売却する必要がないのであれば、事故後数年以上待ってから
売ることをお勧めします。
④買い取り業者に売却する
買い取り業者に売却するなら、通常の物件であれば市場価格の20%引き前後
で売却となりますが、事故物件であれば更に値引きとなります。
一般の買主とは異なり、買い取り業者は色々な物件の購入に慣れていますので
事故物件でも難なく購入します。
買い取り業者である不動産会社は、瑕疵担保責任を2年以上負わなければ
ならず、瑕疵担保責任を完全に免責することができないというルールが
あります。
だから買い取り業者は瑕疵担保責任を負うことに慣れています。
物理的な瑕疵がある物件を買う場合、買い取り業者は購入後に修繕等を
行います。
一方で事故物件のような心理的瑕疵しかない物件は、修繕の必要がないため、
買い取り業者にとっては、割安な買い物と言えます。
買い取り業者への売却は、普通に売却するより安くなる可能性がありますが、
確実に早く売却したい方にとってはオススメです。