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空家法の施行状況と低末利用地の特別控除利用状況について

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国土交通省が発表した「空家等対策の推進に関する特別措置法」と「低末利用土地の利活用促進に向けた長期譲渡所得の100万円控除制度」の施行・利用の現状を紹介します


 今後、人口が減少傾向をたどっていくなかで、空家問題は一段と深刻化していきます。休眠状態になった土地や建物が増えると、景観や治安が悪化する恐れが高まります。放火や半壊状態にある建物の一部が台風などで吹き飛ばされ、人に当たって怪我を引き起こすなども考えられるだけに、空き地・空き家対策は重要です。
 こうした空き地・空き家対策を加速させるために「空家等対策の推進に関する特別措置法」や「低末利用土地の利活用促進に向けた長期譲渡所得の100万円控除制度」などがありますが、その施行・利用状況について7月と8月に国土交通省から相次いで発表された内容について見てみましょう。

空家対策はまだまだ道半ば


 まず、「空家等対策の推進に関する特別措置法」ですが、これは平成27年5月に全面施行されました。この法律では、市町村に対して、①適切な管理がされず空き家のまま放置されている建物の持ち主を特定すること、②対象となっている空き家に立ち入り調査を行う権限を与えること、③老朽化が激しく、倒壊の恐れがあるような「特定空家」については、持ち主に解体や修繕を命令し従わない場合は持ち主に代わって市町村が解体撤去を行うこと、などが定められています。当然、③に関して市町村が解体撤去を行った場合の解体費用は持ち主に請求されます。
 なお、「特定空家」は、国土交通省の基本指針である「倒壊などの著しく保安上危険となる恐れがある状態」「著しく衛生上有害となる恐れがある状態」「著しく景観を損なっている状態」「放置することが不適切である状態」の4項目のうち、いずれかに該当する空き家の事です。

 「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されてすでに7年が経過しましたが、はたして空き家対策はどこまで進んでいるのでしょうか。
令和4年3月31日時点で、1,741市区町村のうち80%に相当する1,397市区町村が「空家等対策計画」を策定済であり、市区町村として把握している管理不全の空き家は49.9万件でした。そのうち、所有者を特定できたのが48.1万件。市区町村の取り組みによって除却や修繕が行われた管理不全の空き家は12万2,929件にのぼりました。
また、特定空家等として把握されているのは約4万件。このうち除却や修繕が行われた特定空家等が1万9,599件で、現存している特定空家等は約2万件でした。
 ただ、49.9万件はあくまでも市区町村が把握している管理不全の空き家であり、日本全体で見れば、その数はもっと多いでしょう。平成30年度住宅・土地統計調査による「その他空き家」のうち「腐朽・破損あり(=管理不全)」の空き家は100.6万戸という数字があるだけに、空き家の除却や修繕によって対策を講じるには、まだ先は長いです。特に老朽化が著しく、保安上危険がある特定空家等に対する措置が、令和3年度時点でまだ半分程度しか進んでおらず、2万件が現存しています。特定空家等については倒壊の危険性だけでなく、犯罪に利用される恐れも指摘されているだけに、早急に対応する必要があるでしょう。



特別控除の活用は着実に進んでいる

 
 一方、「低末利用地の適切な利用・管理を促進するための特別控除(以下、低末利用地の特別控除)」は着実に進んでいるようです。
 令和2年7月1日に創設された制度で、ひとまず今年12月末に期限を迎えます。同制度の利用状況が活発であれば、期限延長も見込めるだけに、今年7月25日に公表された令和2年7月から令和3年12月までの利用状況の数字が注目されています。
 低末利用地の特別控除は、使われなくなった土地や建物を、一定条件の元で譲渡した人の譲渡益に特別控除枠を設け、土地・建物の流通を活性化させるというものです。土地・建物を売却することによって発生する譲渡所得から100万円控除することによって、譲渡所得に対する税負担が軽減されるのが、この特例のメリットです(譲渡価額要件上限500万円)
 国土交通省が発表した利用状況の調査によると、令和2年7月から12月までの間に交付された低末利用地等の譲渡に対する確認書は2,060件でした。その後、令和3年12月までの1年間に交付された確認書が3,090件で、制度創設からの合計は5,150件に上っています。すべての都道府県で交付実績があり、平均すると110件の実績となりました。
 5,150件のうち、譲渡前の低末利用地の状態がどうだったのかを見ると、空き地が最も多くて55%。以下、空き家が27%、その他(耕作放棄地)が10%、それ以外が7%、空き店舗が1%となっています。所有期間は51年超えが最も多く28%を占め、以下、41~50年が17%、31~40年が16%、21~30年が14%、11~20年が15%、5~10年が10%という順番になります。
 また、譲渡後の利用状況ですが、これは住宅が最も多く61%を占めています。それ以外ではその他が17%、その他の事業利用が11%などで、圧倒的に住宅として利用されることがわかります。
 ただ、低末利用地の利活用という点で、住宅利用については、さまざまな観点から工夫が必要でしょう。というのも、これから日本は間違いなく人口が減少の一途をたどるし、世帯も大家族や核家族が減り、逆に単身者世帯が増加傾向をたどっています。
 こうした状況からすれば、戸建てやファミリータイプのマンションは、需要が後退する可能性も十分に考えられます。もちろん、この住宅利用となった61%がどのような住宅となったのかはわかりませんが、家族形態の変化を見据えた利用が求められるでしょう。
なお、同制度については、国土交通省が8月25日に公表した「令和5年度税制改正要望事項」に、3年間の期限延長および譲渡価額の要件について上限を800万円に引き上げることが盛り込まれています。今後は、年末の税制改正大綱での正式決定まで注視していくことになります。
                  ※ハトマークサイトより引用




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